第三章・うしろの正面だあれ?

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「いいじゃないか。僕が何を考えていようと勝手だろ。で?何の用だよ。」 橘少年の問いに三太は待ってました!というような顔をした。 「お前さー、死体の第一発見者なんだろ?怪しい人物とか見なかったわけ?」 三太が興味津々に聞いてきた。 橘少年は呆れたように三太に言う。 「あのねー、死体を目撃して気が動転してるんだからそんな細かい事まで気がつくわけないだろ?」 橘少年の答えに三太はガッカリした。 ━まぁ、第一発見者は僕の他にもう一人居たけど。 橘少年は、青ざめてすぐ逃げ出してしまった少年の事を思った。 彼に比べたら、自分は肝が座っているという事か。 自分では小心者と思っていたが。 それにしても気になって仕方がない。 いつになったら、事情聴取が自分の番になるのだろうか。 橘少年は手持ち無沙汰に鉛筆を指でクルクルと回していた。 それを三太が尊敬の眼差しで見ていた事に気づかずに。
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