第三章・うしろの正面だあれ?

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      (二) 一方、その頃。 職員室では今後の事について話し合っていた。 生徒や警察への対応の仕方だとか、PTAや父兄にバレた時の事など、いろいろと議論を繰り広げていた。 生徒指導も兼ねている数学教師の城戸智史が率先して案を出していた。 「だから父兄達にはですねーギリギリまで伏せて…」 隠蔽工作でもしようとするのか。 いかにも頭の硬い人間の考えそうな事だ。 美坂は真面目に聞くのも馬鹿馬鹿しいので、一人、輪から離れて窓際にもたれていた。 所詮、いくら隠そうとしたところで、バレる時はバレルのだ。 そんな事であがいたってしょうがない。 そんな事を話し合っている暇があるなら、早く現実を見ろ。 自分達の学院が暗い闇に包まれようとしている事に。 美坂はその場に居る事にウンザリして、職員室から出る事にした。 入り口まで行ってから、城戸に呼び止められた。 「美坂先生!どこに行くんですか!大事な会議中ですよ!」 そのまま無視したかったが、そうすると後が煩いので、頭を押さえて言った。 「気分が悪いので、少し外の空気を吸ってきます。」 美坂は体が病弱だと思いこんでいる教員全員が満場一致で許可を出した。 なんとちょろいものか。 まぁ、そう思い込んでしまったのも過去に美坂が何度も突然ぶっ倒れるのを見ているからだが。 「それでは、失礼致します。」 美坂はニッコリと微笑んで職員室を出た。
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