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ソファーに座るなりタバコに火をつける緑川。そして香野の紅茶を当たり前のように勝手に飲む。
「それ俺のだよ~」
香野が緑川にそう言って、また少し睨む。すると緑川が南に話しかける。
「南、坊主が紅茶だってよ」
南はますます笑顔になると緑川と香野の二人分の紅茶を入れる。そして二人の前に差し出す。
それを見た緑川は元は香野の紅茶を一気に飲み干して言った。
「おう、ありがとな」
香野も南に礼を言う。
「南さん、ありがとう」
はたから見れば緑川は香野をいじめているように見えるが、これは緑川のぶっきらぼうな愛情表現である。緑川は興味のない人間には当たり障りなく接する。
つまり緑川は香野が気に入っているのだ。
緑川は灰皿にタバコの灰をポンポンと落とすと、真面目な顔になり南に話しかけてきた。
「それで、ファントムの件なんだが…」
香野は普段聞き慣れない言葉に興味を持ち南に質問をする。
「南さん、ファントムって何?」
南が返事をするよりも先に緑川が返事をした。
「坊主、南の所に来ててそんな事も知らないのか?そんなんじゃ名探偵にはなれないぜ」
香野が膨れっ面になる。それを見て南はまた笑顔になる。
南は香野にファントムについての説明をはじめた。
「香野君、好奇心があるのはとても良い事だよ。
ファントムとは世界をまたにかける大泥棒と言ったところかな?」
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