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高校を卒業して1年と3ヶ月。
相変わらず恋愛とか、そんな話に無縁な私がいる。
でも、さすがに思春期のおデブさんな私は、少しすっきりした体型にはなってた。
「あーあ、彼氏が欲しい。」
「皆、いーな。」
そんな事ばかりを言って、日々を過ごしてた。
会社の人達は年いったおっちゃん達がほとんどで、若い人は、たまに下請けの人が来る程度…
でも、自分の気持ちにズキュンって弾を撃ち抜く人は居ないのだ。
「はああ…退屈…」
瑠奈に言わせると
「いいじゃない?自由で…私なんて、毎日子育てと家事に追われてるんだから!失礼しちゃうわ!」
なんだそうだ。
瑠奈の子供は女の子で、7ヶ月の可愛い盛り。
元々子供が好きな私は、1ヶ月1、2回瑠奈の子供と遊びたくて、瑠奈の家に出かけてた。
たまに、昔の思い出話をすると、和也君の話が出て来た。
「どうしてるんだっけ?」「真面目に働いてたらしいけど、会社の人と喧嘩して辞めて、また、ふらふらしてるらしいよ。」
「そうなんだ…」
「やっぱりあの事が原因かな?」
「違うよ、沙希!本人次第なんじゃないかな?」
「そうだよね?」
和也君の話が出る、と胸がズキッと痛くなる。
苦い夏の日に引き戻されるから
…
でも、また、夏は来る。
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