**プロローグ**

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3ヶ月前、美由紀が去っていった時の総司の落胆ぶりをメンバーは覚えていた。 一時は音楽活動にも影響するのではないかと思われた程なのだが、総司のプロ意識はさすがにそんなにヤワなものではなかった。 仕事は仕事。私情は私情で器用に分けられた。 さすがにそこは32歳の大人として当然の事ではあったのだが…。 自暴自棄にならずに済んだのも、総司はこのメンバーのお陰もあると考えている。 自分が音楽を続ける限り、側にいてくれる安定した存在…。 恋人のような不安定な存在とは違う、確信できる存在。 そんな存在が、総司には有り難かった。 そしてそんな事を思いながら、マネージャーに見送られタクシーに乗り込む。 流れ行くいつもの夜景を見ながら総司は、この後シャワー浴びてベッドに倒れ込んで…とかそんなだらけたプランを立てていた。 この15分後…そんなプランは天変地異の如く物凄い勢いで打ち砕かれるとも知らずに…。 .
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