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──ギッ…
月子がいるこの部屋がついに開けられ…
──パチッ
そしてついに灯りがつけられた。
月子は小さな拳を握りしめ、目をぎゅっと瞑った。
この家の主は、月子の姿が見えるのか否か…ぐっと審判が下るのを待った。
「……うっ…うわあぁぁぁぁあ!!!!」
物凄い声量の男の人の声が響いた。
月子の状況は、どうやら最悪な物となったようだ…。
(…聞き覚えのある声だ)
月子は最悪の事態の中で、ふと冷静にそんな事を思った。
「そこで何してる!?警察呼ぶぞ!!」
月子は恐る恐る目を開けると、大きいサングラスをしたその男が月子に詰め寄ってきた。
「あっ…あの…違…うんです」
男はサングラスを外し、怒りの表情を露にした。
「……………!!」
月子は気付いた。
その男の正体が…あの浅羽総司だという事に…。
近くで見ると、あごにだけ生やした無精髭が妙に似合っていて、「オス」を感じさせる。
身長もかなり高い。
「何が違うんだ?…あんた、ライヴの時にいた子だな」
「え………?」
(あの時…浅羽さん、私の事見えてたの…?)
月子は内心嬉しい気持ちもあったが、ともかく喜んでいられない状況だという事は重々承知だった…。
(どうしよう…)
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