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「何ぼさっとしてんだ!!ここから出ていくんだ!!」
総司は月子の腕を掴もうとした。
「あっ…あの!!」
月子が何かを言いかけた時だった。
「…………ん!?」
総司は空を掴むような感覚を覚えた。
もう一度月子の腕を掴もうとすると、また空振りする。
「…あの…私…」
「……………」
総司の目は見開かれていて、焦点の合わない様な目でじっと月子を見据えていた。
月子はその視線から目を逸らして俯いた。
「…実は…私…死んじゃったみたいなんです…。何時間か前に…」
総司は険しい顔をした。
「…お前、幽霊か?」
「……はい。そうみたいです」
やっと本当の事を言えた…月子はそう安堵していたが…それも束の間だった。
「だったら尚更だ。ここから出ていけ。今すぐにだ!」
「…あの…それが…」
「問答無用。出ていけ」
(…そんな事言われたって…)
月子は耳を傾けてくれない人間に対して物が言える程口がうまいわけではない。
「何なんだよ。木偶の坊の様に突っ立ってんじゃねぇよ。
お前ガキだからって何しても許されるとか甘っちょろい事思ってんじゃねぇのか?」
(そんな…私だって…出ていきたいよ…)
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