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絶体絶命のさ中、言葉に出せない気持ちや悔しさが涙となって溢れた。
「今度は泣き落としか?」
「…違…いま…す」
余りにも冷たい言葉の数々に、月子は耐えきれなくなっていた。
それでも黙り続けているわけにも行かないので、一生懸命声を振り絞った。
「私だって…こんなとこ………居たくないです…でも……なんでか…ここから出られなくて…」
総司は溜め息をついて月子を睨んだ。
「……ごめんなさい………」
「……何故…謝る?」
「…どうしたら…いいか分からないから……」
(でもきっと…私が悪いんだ……最期に浅羽さんに会ってみたいなんて…思っちゃったから…)
総司は泣き止まない月子を睨み付け、呆れた顔で頭を掻きむしった。
「……あー…もう面倒くせ…」
「…ごめんなさい…」
「…もう謝るな。うるさい。俺はもう寝る」
そう言って総司は乱暴にドアを閉めて部屋から出ていってしまった。
(……誰だって迷惑だよね…私みたいなの…)
「…ごめんなさい」
一言、ポツリと呟いた。
月子は声を出さないように気を付けながら…一晩中泣き続けた。
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