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総司はシャワーの水温を下げ、酔いを覚ます。
と言っても、先程の事で八割方の酔いは覚めていたのだが。
「ったく…何なんだよ。あの幽霊…」
とは言え、総司は少し胸を痛めていた。
「少し…言い過ぎたか?」
シャワーを止め、ドライヤーで軽く髪を乾かした。
Tシャツにボクサーパンツのまま寝室のベッドに倒れ込んだ。
朝、目が覚めたら…全てが夢であって欲しい…そんな風に思いながら眠りについた。
月子は少し落ち着き…ただひたすら窓の外を恋しそうに眺めていた。
雨はいつの間にか止んでいたようだ…。
大きな窓は、東に向いてるらしく、遠くの方が少しだけ明るくなっていくのが見えた。
(…全部…夢だったらいいのにな…)
月子は、色々なショックが重なり、潰れてしまいそうな勢いだった…。
死んでしまった事や…
自由がきかない事…
憧れの総司には毛嫌いされてしまった事…
死んでまで、こんな想いはしたくなかった…。
死んでしまったなら、いっそ全ての苦しみから解放して欲しい…。
月子はそう思ったが、現実は容易くその願いを受け入れてはくれない…。
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