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夜が明け、遠くの方で太陽が昇りつつある。
朝日に照らされ、街はまた一日を刻み始める。
(未来なんて…もう…私には関係ないのかな)
月子はただ、ぼーっと日が昇ってゆくのを見ていた。
そして正午近くに、違う部屋の扉が開閉する音がする。
(このお家…どの位広いのかな)
月子のいる部屋は広く、大きなテレビに大きなソファ。
カウンターの向こうにはおしゃれなキッチンが見える。
──ガチャ
総司が入ってきた。
「………………」
「………………」
二人は目を合わせ無言になる。
総司が月子に歩み寄る。
一歩一歩総司が近づいて来ることに月子は体を震わせた。
また罵倒されるかもしれない…。
そんな事を考えながら月子は小さく痙攣した。
すると、総司は俯いた月子の隣に立ち窓の外を見つめた。
月子は恐る恐る総司の横顔を見ようと顔を上げた。
それに気付いた総司も月子を見下ろす。
総司にしてみれば、ただ見下ろしただけなのだが、何しろ身長差が30センチもあるため、月子は総司に睨まれている様に思えてしまった…。
月子は蛇に睨まれた蛙のように身をすくめた。
そして続く沈黙に耐え兼ねて、ようやく月子は口を開く。
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