**プロローグ**

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打ち上げといっても小さなものだ。 いつものサポートメンバー(ギター・ベース・ドラムの3人)と、マネージャーにスタイリスト。 小さな居酒屋で小さく盛り上がる。 駆け出しの頃から大差ないこの打ち上げが、総司には一番癒される時間だった。 初心を忘れない為…というよりは、売れて行くに連れてどうしても周囲は変わってしまう。 仕方ない事ではあるが、変わってしまうばかりでは寂しかったので、この小さな打ち上げだけは変えたくないと思っていた。 ゆったり過ぎる時間に、いつもと同じ酒に舌鼓を打つ。 大好きな時間の筈なのに…総司は胸にぽっかり空いた穴を無視出来ずにいた。 メンバーが総司を気遣い、酒を注ごうとする。 総司はそれを笑顔で制した。 「…今日はもう遅いし、お開きにしよ」 全員が口には出さずとも「大丈夫か?」と顔に書いてあるのがわかる。 (…気ぃ使わせちゃって…俺も駄目だな…) 総司は一人で会計を済ませようとすると、ギターがそれを止める。 「…ここは割勘だ」 「いや、いいよ。…払わせて」 .
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