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「ちょ!!いきなりかよ!!」
頭上に向けて降ってきた竹刀を受け取った竹刀で止める。
パシンと竹の打ち合った音が、静寂に包まれた道場に激しく響いた。
「あ、危ねぇ~…ッ…」
防具も身に付けずに面などくらったら……想像するだけで末恐ろしい。
「自分の息子、殺す気かよ!!」
「……ごちゃごちゃ言わずに、打ち合いに集中しろ!!」
親父は俺に構わず、次から次へと竹刀を振り下ろす。
回避しながら親父の隙を探せど、なかなか上手くはいかなくて、親父の竹刀を打ち止める事で思考回路は埋まる。
受け止め、態勢を整え、機会を待つ。
その繰り返しが延々と続いた。
今だと攻撃に転じると、防御が崩れ親父の竹刀が激しく俺の胴を突く。
竹刀が思いきり生身の腹を打った。
衝撃で内側から吐き気が込み上げて蹲る。
それを鎮める為の時間も、親父は与えてはくれなかった。
次から次へと容赦ない打ち込みが襲う。
俺は必死に親父の攻撃から逃げて、受け止めて、攻撃に出ると激しい打ち付けが体のあちらこちらに落ちる。
幾程の時間、親父と打ち合いを続けてたかなんてモノは考えている暇はなかった。
親父の攻撃を防がない事には、容赦ない親父の竹刀が幾度となく体を打ち付けるから、時間など気にしている余裕なんて全然なくて……。
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