ジャンケンおじさん

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 ある時友達が 「最近ジャンケンおじさん見かけないなぁ~…。」  と言い出した。確かに2週間近く見ていない。こんな事は初めてだ。すると別の友達が暗い顔して話し出した。 「実はこの前うちの近所で家が燃えただろ…。」  確かに2週間前にそんな事があった。まさかその家の主が…、と思いながら話の続きを聞く。 「たまたまそこの家の両親が子供を残して留守にしてたらしく、火遊びか何かで家が燃えたらしいんだ。」  予想外の進展。話は続く。 「で、慌てて帰って来たそこの家のお母さんが泣き叫びながら『家の中に子供が一人いるんです。』って言ってたら、そこをたまたま通りがかったジャンケンおじさんが『よし!助けに行ってくる!』って。」  さらにまさかの進展。まだまだ話は続く。 「水を被り炎に包まれた家の中へジャンケンおじさんは果敢に飛び込んだんだ。だけど、すぐ後にそこの子供が現れたんだ。でもそんな事を知らないジャンケンおじさんはそのまま燃え盛る炎に包まれた家と一緒に…。」  悲しい…、なんて間抜けで悲しい話なんだ…。思わず涙が出て来た。
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