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「……ねぇ、和樹」
「うん、何………?」
中庭の少し高くなった丘の上で爽やかにそよぐ春の風を感じていた時、横の桜の木に寄りかかっている公ちゃんが話しかけてきた。
「お前さぁ、関口さんのドコに惚れたんだよ?」
「な、何だよ、急に」
公ちゃんに予想外の質問をされ、若草の上に寝転んでいたオレは思わず飛び起きってしまった。
「別に、今更、隠す事も無いだろ、俺達に隠し事は無し、だろ」
「分かったけど、絶対言うなよ」
言わないと言わんばかりに公ちゃんが頷く、そんな姿のせいか、今まで公ちゃんにさえ言わなかった関口さんを好きになった理由を話し始めてしまった。
「オレが好きなった理由は、入学式の時、クラス割りを見てたら横に関口さんがいて、『あ、大蔵くん、私と一緒だね!』って言って笑ったくれたんだよ、多分それが………」
「はい、はい、分かったからその辺で良いから、それ以上そんな顔してたら、みんなに突っ込まれるぞ」
幸せな思い出に浸りながら話していると公ちゃんに表情を指摘されオレは慌てて表情を作って公ちゃんに話しかけようとした時だった。
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