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空が微かにオレンジに染まり始めた夕方
夏の風の匂いが鼻をついた。
少しだけ、切なくなる匂い。
俺は自分の部屋から窓の外を見ていた。
小さな公園が見える。
昔、姉貴と一緒に遊んだ場所。
泥だらけになるまで遊んで、いつも二人して怒られた。
『薫、何してんの?』
部屋のドアが開いて、姉貴が入って来た。
『・・・・・あれ見てた』
俺は公園を指差した。
『何?』
姉貴は俺の隣に座って、指差した先を見た。
『・・・・・ガキの頃、よくあそこで一緒に遊んだの覚えてる?』
『あ、うん!薫、あの滑り台からジャンプして転んで泣いたよねー』
姉貴はそう言ってクスクス笑った。
『あのさー・・・・・自分だってあの木にぶつかって鼻血出したくせに』
『うっ・・・・・あれは笑い事じゃないよー!かなり痛かったんだから』
『悪い(笑)』
俺はカーテンをゆっくり閉めた。部屋が急に暗くなる。
『・・・・・あの頃から、俺は姉貴だけを見て来たんだ』
『・・・・・・・薫?』
次の瞬間、俺は姉貴の唇を強引に奪った。
『っ―・・・・・・・・』
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