それぞれの思惑

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夏が暑さを増す8月上旬― 駅前のファミレスに奈緒子や奈々達クラスの女子何人かで集まって話していた。 『ねー!明日って6時集合だよね?』 『楽しみー♪』 『由紀ぃー明日斉藤も来るって♪良かったじゃん☆』 『別にそんなのどーでもいーから!』 『あんたわっかりやすいねー』 みんなワイワイ楽しそうに話している。 私は一人窓の外を眺めていた。 ・・・・どーしよ。 あれから一日に何度も思い出してしまう。 キスの唇の温度も体の感覚も 初めての経験―・・・・・ 私、したんだよね・・・・? 『綾音!!』 『えっ!!何!?』 『あんた今日変だよ?なんかあった?』 奈緒子がキョトンとした顔で私を見た。 ハイ・・・・・ありました。 なんて言えないけど。 『ううん!なんにもないよ』 『あ・・・・・そう? まーいいけど。で、あんた明日大丈夫だよね?』 『え?何が?』 『だから、クラスで集まって近くの公園でバーベキューと花火やるっつったじゃん♪行くっしょ?』 『え?ああ!行くよー』 『良かったー楽しみぃ♪』 『ごめん、ちょっとトイレ』 席を立ち上がって、トイレの方へ歩き出した。
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