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みんなが花火をし始めた中、私は頬杖つきながら座って地面を見つめていた。
虫の鳴き声に混じって、遠くから聞こえてくる楽しそうな笑い声。
『・・・・なんか顔怖い』
竹下が来て、私の近くに座った。
『あれ?花火しないの?』
『別にいい。そんな好きじゃないし』
『そっか』
ふと、1学期の記憶が蘇る。
屋上で泣いていた時、竹下は私が泣き止むまで側に座っててくれた。
あれは、嬉しかった。
本当に嬉しかった。
『・・・・・竹下はさ、いい奴だよね』
『は?いきなり何?』
『んーん、別に?』
『・・・・・・・・・・』
パンッ
次の瞬間、爆発したような音と共に打ち上げ花火が上がった。
空を見上げれば、小さいけれど色とりどりの花火。
『あー、すごいねー』
『お前さー・・・・』
『んー?』
空を見上げたまま、返事した。
『やっぱいーわ』
『?』
花火は、夏の夜空に儚く消えていった。
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