120人が本棚に入れています
本棚に追加
「これは失礼、私は『黒芯』。
さっきの騒動を見ていてね、面白そうだったからついてきた」
黒芯、と名乗る少女の優雅な礼を見て、女の子は警戒した様に一歩飛びすさる。
「……お前、シャダンの……グーテ授与式の審査員の手下か?」
「いや?
どちらかというとさっきまで君の主だと勘違いされて追い回されたんだけど」
あの男、シャダンっていうのか……と少しずれた所に関心を持つ黒芯に、
女の子は幾分安心したように肩の力を抜いた。
「そうか……関係ないのに悪い事したな」
「君の主は?」
「いねぇよ。
グーテが主なしじゃ活動できないとでも思ってんのか?」
黒芯の問いに、女の子は鼻で笑って黒芯を押しのけ、木の下に座り込んだ。
「確かにグーテは生き物の精神力を糧に生きてっけどな、そりゃ人間限定じゃねぇのさ。
それを人間が授与式だのなんだの言っていいように利用してるだけだ」
あいつらみたいなな、と言って空を睨みつける女の子に、黒芯は肩をすくめた。
「人間ってのは利用できる物は利用するものさ。
きっと他の生物が知能を持ってもそうするよ」
「……人事だな、オイ」
「客観的なだけさ。『私は違います』とは主張していない」
最初のコメントを投稿しよう!