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「いや、別にキミに暴力を奮われた訳じゃないよ……」
「いいえ、キミだったら女性だって平気で殴ります!」
「っておい! どういう意味だコラ!」
乱戦状態になってきた会話を遠目で見ながら、ラキは黒芯の方を見た。
また目から光が現れる。
「…………」
少し目が見開かれた。ラキは黙ってキミとミラを引き寄せる。
「うわ! ラキ、どうかしましたか?」
「……行くぞ」
「おい、まだ話は終わってねぇぞ!」
そのまま二人をずるずると引きずっていくラキに、
黒芯はあわてて声を掛けた。
「あ、待って! まだ聞きたい事が……」
「知りたい事があるのなら、」
一歩立ち止まり、ラキは薄く開かれた目を黒芯に向けた。
「自分で調べて来い」
敵意のあるその視線に、黒芯は呼びかける事をやめた。
ミラとキミの不平を言う声が遠くなっていく。
頭に手をやって、黒芯はつぶやいた。
「なんか気に触ること言ったかなぁ?」
「授与式に授与されるグーテは数ヶ月前から捕獲されてこの街に運ばれてくる。
ところがたまに脱走して行方をくらますグーテがいる。
この間の審査員は気付いていなかったようだけど
……君達がそれなんだろ?」
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