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以前ラキに突っぱねられて数日、黒芯は毎日グーテ達の所へ姿を現していた。
時計台のてっぺん、裏通り、酒場の床下……
命中度100%の黒芯の場所当てに、二人は首を傾げずにはいられなかったのである。
「私は調べて来いと言われたから調べたまでさ。
君達こそ私に近づくなと言われているんじゃないのかい? ラキにさ」
「あんな堅物の言う事なんか誰が聞くか」
「ちょっと、キミ!」
キミの言葉にミラがたしなめるが、その当人だって言う事を聞いていないのは事実だ。
「それよりも、心配すべきは君達の体だろ?
後二日で授与式、審査員達はどんな手段を使ってでも君らを捕まえようとするよ。
それなのに……」
苦笑を浮かべながら、黒芯は自分より高い場所に座っているキミを見上げた。
初めてキミに話しかけた一本だけ立った街路樹の上。
「キミはどうしていつもいたずらをするんだい?」
そっぽを向いたキミに、今度はミラがため息をついた。
「……さっきの酒瓶ボーリングで十回目ですね……」
「ほー、そりゃめでてぇな」
キミは棒読み口調で文章を読み上げた。
ついさっきまで全力で追われていたいたずらっ子のセリフとは思えない。
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