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ここ数日で少し共感を覚えた黒芯とミラは顔を見合わせた。
その動作に気付いたのかは分からないが、キミが二人に視線を合わせないままつぶやいた。
「気にくわねーんだよ」
「ほう?」
彼女が見ているのは、青い空。
以前二人と出会った、同じ空。
「俺達は出会ってから、ずっと一緒だったんだ。
でもな、あいつらは俺達を捕まえたら絶対に一緒にはさせてくれねぇだろ」
「それは……仕方の無い事ですよ。
グーテは精神力を糧にします。一つより多くグーテを使えば、主の方が壊れてしまう……
元々その事件が多発したから授与式と審査員が作られたんでしょう?」
「んな事どーでもいい!」
ミラの言う事を強く遮って、キミは木の枝から飛び降りた。
「それが、どうして俺達を引き離す理由になる? あいつらが俺達をバラバラにする権利なんてどこにもねーんだ!」
目の前に降りてきたキミを見て、黒芯は目を細めた。
「キミが『権利』なんて難しい言葉を使うとは思わなかったよ」
「お前、馬鹿にしてんのか?」
せっかくの真剣な話をはぐらかされて怒るキミを無視し、
黒芯はついと二人の前を通り過ぎていった。黒いコートが揺れる。
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