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「グーテにゃこいつだけじゃない、
他にも『渇きのグーテ』とか」
「色々種類があるって事ですね?」
感心したように少女が店主の言葉を受け継ぐ。
「で、そんな便利な力を授与するために、みんなこの町に来ていると。
大方年に一回とかなんでしょ」
「いや、当たりだけど。しっかし驚いたな、この世界にグーテを知らん人がいるとは……」
「店主、知ってますか?
知らない人とスムーズに話を進めるには、
何らかの質問から話題を見つけていけばいいんですよ。
例えその問いがでっち上げであったとしてもね」
現に私と店主は普通に話しているよりも
多く会話できたと思いますが?
その言葉に呆気にとられた店主は、ややあって真意に気づき苦笑を漏らした。
それにほほえみ返して店内へと顔を向けた少女だったが、
ふとその目に床に這い蹲る青髪の女の子を映した。
少女よりも更に年端の行かない幼児が、
酒場の床で匍匐前進なるものをしている。
その異様な光景に、少女は視線だけをそっちへ向けた。
やがて女の子が四つんばいでたどり着いたのは一つのテーブル。
店の中央には団体の客が占領しており、真昼間から騒いでいる。
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