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思わず口調が恨めしくなった。俺には一番に知らせてくれると思っていたから、やっぱりショックで。これからもずっと、俺は和志の側にいたいと思っているのに。
「や、だって」
でも、温度差があるみたいで、和志は平然としている。それが悲しい。
「和志?」
「そんな急いで知らせることないって思て」
「なんやって………?」
プチン、と音をたてて何かがキレた。離れ離れになるっていうのに、急ぐことないだって? 和志にとって俺はそれだけの存在だったのか?
怒りと悲しみで体が震えた。
「哲平?」
何でもないって顔してる和志が憎らしい。
俺は和志の肩を掴み床に押し倒した。そして間髪を入れずにその唇を塞いだ。
キレたのはおれの理性だ。和志が俺の胸を押し返しても、苦しげな声をだしても、とても許してやれない。
無茶苦茶にしてやりたい。走りだした黒い欲望は止まらない。
「んっ……、やめっ、哲平……」
息を継ぐために一度唇を離して。
「哲平、何する……」
「何って、この状況ですることなんか一つやん」
「哲平……」
「ずうっと和志のことが好きやってん」
癖のある前髪をかきあげて、和志の綺麗な顔を露にする。
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