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男のくせに綺麗な顔。その面が驚愕の表情になっていて、それが俺を満足させる。
「俺な、夢の中で何回も和志のこと抱いた。キスして、体に触れて、俺を受け入れさして………」
再び口付けようと顔を寄せたら、強い抵抗にあった。
「やめろって言ってんねん!!」
和志が渾身の力で俺を突き飛ばした。俺が尻餅をついている間に和志は体勢を立て直していた。
「ちょっと待てって!!」
「和志……」
「哲平、お前人の事襲っといて何泣いてんねん」
「え………?」
頬に触れたら濡れていた。和志に指摘されるまで、自分が泣いてるなんて全く気が付かなかった。
何だか急に体の力が抜けた。
「それと、なんで今日で終わりみたいや言い方やねん」
「だって……、お前引っ越すって………。茨城なんて新幹線使っても何時間もかかるし、そやのに和志平気な顔してるし………。俺……悔しいし悲しいし………」
「なんて? もう一回言ってみて」
「だから、和志は俺と離れても平気なんかと……」
「そこやなくて。俺の引っ越し先、誰にきいてん」
なぜか和志の口調には呆れが混じっていた。
「おかん」
「どこに引っ越すって?」
「茨城」
「……………」
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