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はあって、和志がこれみよがしに大きな溜め息をついた。
「ちゃうから」
「へ?」
「茨城ちゃうで。茨木や」
「………。え?」
「だーかーら。茨城県じゃなくて、大阪府茨木市や」
「………茨木………」
それって隣の市だ。
「ここから自転車で10分で行けるで。学校やて変わらへんし」
「………………。俺の早とちり?」
「みたいやな。アホやろ」
羞恥で顔に血が上る。
「それでな哲平。さっきの、俺ファーストキスやねんけど」
「えっ………」
まさに穴があったら入りたい。ってか、自分で穴掘って埋まりたい心境だ。せっぱつまってたから、俺は後先考えずにかなり大胆な行動にでてしまったのだった。
「ご、ごめんっ!!」
もう、とにかく謝るしかない。頭の中パニックでうまく働かないし。告白すらまともにしないで(勿論返事もきかないで)事にいたろうなんて、許される沙汰じゃない。
「何がごめん?」
「それは……。お、押し倒したし、キスしたし…………ゆ、夢の中でもその……」
最後は口ごもってしまった。
「俺の気持ち無視したんは?」
「和志?」
「俺がお前と離れて平気やと思ってたん?」
和志は不服そうな顔で俺を見た。
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