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「はい」
「これはバレンタインのお返しだからね」
「お返しって……僕はチョコしか……」
「そんなことはないよ? かわいかったよ、あの時の君は。恥ずかしそうにしているのに、でも欲望には忠実で……今思い出しても興奮するね」
「せっ……先生っ、こんな場所でっ」
抗議の声をあげるけど先生は素知らぬ顔をしている。
「大丈夫、聞こえていないよ」
「でもっ」
「ふかひれスープでございます」
会話を中断するようにウエートレスが料理を持ってきた。今の会話をきかれていてんじゃないかと考えると、頬が熱くなる。彼女はスープを取り分けてから下がった。
僕は先生を睨んでみたけど、先生の表情は変わらない。
「温かいうちに食べましょう、史也君」
普通だし?
「これからどうしようか」
「どうって?」
「どこか行きたい場所はある? 遊園地でも行くかい? それとも港でも?」
「……いいの?」
「いいのとは……?」
「だって、誰かに見られたら……」
教師と生徒だし、まずいよねやっぱり。
「うーん、男女じゃないからそう問題にはならないと思うけど、特別扱いしていると言われたら……反論できないな」
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