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俺を跳ね飛ばした車は道の端へと止まり、中から若い女性が降りて来た。
「どうしましょう!思いっきり跳ねちゃった」
女は暗黒丸の近くへ恐る恐る近よる。
「あのう、大丈夫ですか?10メートルくらい飛んだけど」
「う、う、痛たたた。まあビックリはしたが、大丈夫だ。しかし、お前の車は強いなぁ」
強いってあんた…
「良かった。てっきり死んじゃったかと思ってドキドキしたわ。
でも念のため病院で見てもらってくれないかしら」
そう言って女は俺に向かって手を差し伸べた。
俺は気がついたらその手を握っていた。
まあ綺麗な手。
それによく見たらなかなかのイケメン
これは神様が私に与えてくださったチャンス!
絶対落とすわ。
ニヤリ
何か今ゾクッと感じたぞ。
俺をゾクッとさせるなんて、この世界の女はなんて恐ろしいんだ。
そこへレオンがやって来た。
「すいません主(あるじ)が、お嬢さんの車にとんだ事をしてしまって。車が怪我したり汚れたりしませんでしたか?」
そう言ってレオンは頭を下げた。
おい!俺の心配が先だろ~!
「だ大丈夫ですちょっと凹みましたが。とりあえず一緒に車へどうぞ」
そう言って女は俺達を車の中へと案内した。
なんだ中は馬車みたいだな。
車に揺られながら15分もすると景色もだいぶ変わって家もポツポツと目立って来るようになってきた。
そして、小さいながらも綺麗な花々が咲き誇った庭のある家の前に到着した。
「さあ、とりあえず私の家へ上がってください」
「1人暮らしなんですか?」とレオン。
「はい!1人暮らしで恋人募集中なんですよ」
うぁ条件反射で言ってしまった。
「はぁ。そうですか。ところで、1人にしては良い暮らしですね」とレオン。
なんか軽くかわされた様な気がするのは気のせいかしら。
「私、ちょっとした会社の研究室の室長なんですよ。今日も休日だって言うのに研究で出かけてたとこ」
「忙しいんだな。良くわかるぞ」と暗黒丸。
「わかってくれる!
嬉しい!
なんか運命感じませんかぁ」
そう言いながら暗黒丸の手を握りしめ…
ブンブンと振り回した!
やっぱへんだ、この女。
家の中に上がると結構衣類やら箱やらが散乱している。
かろうじて、歩くスペースは確保されているようだ。
「ゴメンね♪ちょっと散らかってて。いつもはもっとキチンとしてるのよ」
絶対ウソだ!2人はそう思った。
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