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「バシィッ!!」
「ポイント、(twenty match)20-4(four)」
ドワァッと場内に歓声が上がる。
「おい、あの日本人ヤバイぜ?」
「あぁ、相手は世界でもトップクラスの実力を誇るヒダヤットだぜ?」
ポイント的には逆だろ・・・
「ハァ・・ハァ・・」
20-4で追い込まれたヒダヤットはもはやスマッシュを打つ力さえ残っていない。
それなのになぜこの日本人はまだピンピンしてやがるんだ・・とサーブの構えに入る。
そして
スパァンッ!
という音と共に一つの羽が高く舞い上がる。
若干サーブが甘く上がっため、スマッシュに備えレシーブの姿勢をとるヒダヤットだが、予想に反して結果はフワリとネット前に落とすドロップだった。
「っく・・!」
不意を突かれたヒダヤットはすぐさま前へと急ぐが思うとおりに足が運ばない。
仕方なく上に上げることにしたが姿勢が姿勢なだけあってか、丁度相手コートの真ん中当たり、ゆうなればジャンピングスマッシュを打ってくださいといわんばかりの場所へと羽は向かっていく。
すぐさま中心に戻ろうとするヒダヤットだが時すでに遅し。
日本人は天高く舞い上がり、轟音を放つ。会場中がスピードガンに注目する。
「ピピピ・・・400㎞」
試合が終わった。勝者は日本人だった。ヒダヤットとの握手を交わすと日本人は足早に会場から出て行った。
主審が提出する審判用紙の「勝者署名欄」にはこう書いてあった。
『畑中権三郎』
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