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その日本人の噂が世界に広まるのにさほど時間は必要なかった。
「あのヒダヤット(実在します)を一桁で抑えた」
「スマッシュがくそエグい」
「プラーク」
などの備考も備えられた少年『畑中権三郎』は今日も自宅にいた。
今は飛行機の事情というわけのわからんもので延期になった前の大会の決勝戦への最終調整を行っている。
と、そこに。
「ピーンポーン」
と外から中年男性のインターホンの真似をする声が畑中を呼ぶ。
「歯い、どちら様・・・ッッ!」
玄関に現れたのはかつて西城陽高校でお世話になった、バド部顧問
「MINORU NAKAMURA」
その人だった。
「元気か?」
唐突に手を差し出す。
「はぁ・・・」
それに応えるようにMINORUの手と握手を交わす。
「この前の大会、ご苦労さんやったな」
「えぇ、まぁあんなのはチョチョイノチョイです」
「この前の大会は、ご苦労さんやったな」
「・・・?え、えぇまぁ・・」
「この前の大会、ご苦労さんやったな」
「・・・」
「この前の大会・・・・ウギャーー!!」
いきなりの爆音と共に粉々に砕け散ったMINORU NAKAMURA。
薄れていく意識の中で最後にMINORUはこう残した。
「ピンポン玉はな・・ラケットで打つな」
そういうとMINORUは息をしなくなった。
「ハハッ」
あまりもの無惨な光景に思わす息を吹き返してしまう畑名だったが、そろそろ羽田行きのバスが出てしまうので持ち前の『ャリー』を手に取り、部屋を出て行った。
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