『小田切の死』

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数週間前、形式上では上司にあたる【銀仮面】に呼び止められた事があった。 内容はありきたりなもの。 『何故手加減しないのか。 上役が気分を害し取引をやめる事になれば、お前はどう責任を取るのか』 そんな話であった。 少し考えるふりを装いながら【神崎】は答えた。 この時の答えが、全てにおいて一切容赦せず無駄に勝ち続ける【神崎】の本心であり願いだった。 『彼らはプライドの塊だ。おそらく勝負に負けたから取引を止めるなどと言わないだろう。 だが俺や、この【漆黒館】に一度くらい仕返ししないと気分が良くない。 そうすると取ってくる行動は簡単だ。 俺より腕の立つと思う奴を連れて来るだろうな。 俺はそいつらと戦いたい。 具体的な損失が出るまで好きにさせてくれ』 【神崎】はそれ以上語らなかった……。
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