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『……何か……用事か?』
振り向き様、中にいる男はか細い声を喉の奥から絞り出すようにそう言った。
頭痛でもするのか、こめかみのあたりを片手で抑えている。
照明の加減で顔色まではわからなかったが、体と顔の至るところがやつれはて、
あの時の【ゴールドラッシュ】で見せた覇気は、もはや見る影も無かった。
だが
紛れも無く、それは【小田切】本人だった。
それから【神崎】は【01】の懸念を考慮して、仮面を取る事なくその場を離れた。
会話もせず、立ち止まっていた時間も僅か数秒。
それでも、この時の【小田切】の声と姿が【神崎】の脳裏に
今も尚鮮明に焼き付いていた。
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