『小田切の死』

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『地下です。お忙しいところ申し訳ありません。 一応お耳に入れておく方が良いかと思いまして……』 地下からの電話…… 【神崎】のグラスを持つ手がその瞬間……止まった。 今いる部屋も含め館内には緩やかにBGMが流れている。 だがそれは微量な物であり、二人の会話が途切れると部屋は無音に近い状態となる。 そうすると、受話器から漏れる声を【神崎】にも聞き取る事は可能なのであった。 (……誰かに何かしらあったか。 ……まさか、な……) 【神崎】は心の中でそう呟く。 そして頭に浮かんだ妄想をやや強引に掻き消していると、淀みなく漏れ聞こえてくる声はすぐに本題に到達していた。 地下管理の仮面からの声が【神崎】の耳に届けられた時、 ……さすがに絶句した。 地下の男はたしかに……こう言った。 【小田切】が死んだ、と……。 妄想では無かったのだ……。
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