『敗北者』

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暗い…… 熱い…… 頭が痛い… 何故俺が…… これらは彼の毎日の日課となっている愚痴のほんの一部に過ぎない。 あの【ゴールドラッシュ】が終演を迎え、結局ここに残された男達は全部で二十六名。 その敗北した人間の中に 彼はいた。 その男を含む【彼ら】は、廊下に並ぶ一定の光量のライトを受けているだけの為、朝晩の感覚はもはや無い。 だが、一日に三回は必ず用意される食事を数え、大体五日置きくらいにここから丸一日程出られる事が可能だと彼らは知っている。 実際のところ、 ここから一時出る=【死】 のルーレットを回している事になるのだが、それでもこの牢屋と変わらない部屋に閉じ込められているより、幾分ましではあった。
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