『敗北者』

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そんな毎日を敗北者たる【彼ら】が過ごし始めてから二ヶ月が経った。 【二十六名】いた【彼ら】も今や【十八名】になっている。 消えた【八名】は【者】から【物】へと代わり、いつの間にかその道の人達へと委ねられていた……。 いまだ【者】としている側に、日課である愚痴を唯一人呟き、【復讐】の心を忘れない彼はいた。 そう…… 彼の名は……【小田切】。 【神崎】の周到な罠に敗れ、ここに来た彼はまだ生きていた。 腕には無数の注射の後が残り、所々青く腫れ上がっている。 幸い大きな痛みは無く、たまに襲いくる頭痛に頭を悩ませるだけの症状は【彼ら】の中においてはましな方だった。 『……なぁ……俺もうやばいかも……』 ある日、本日分の愚痴に飽きつつあった【小田切】の後方から小さく掠(かす)れた男の声がした。
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