『敗北者』

6/8
前へ
/313ページ
次へ
【小田切】が聞いた声は、外の世界ならば確実に好きで同じ部屋にいるはずの無い男、【柳】の声だった。 牢屋みたいなこの部屋は基本的に【二人部屋】になっている。 『話し相手くらい、いないと精神的にもまいるでしょう』 そう考えた【01】の、敗北者達へのささやかな配慮だった。 この【柳】という男は、来た当初かなり大柄な体だったが今は【小田切】よりも痩せこけている。そして今『死ぬかも』と口にした。 (おそらく【はずれ】を引いちまったか。 まったく……ここに来てまでまた負け戦やってどうすんだよ…… 馬鹿が……) そう頭の中で罵りながら【小田切】は、仕方なく立ち上がり【担当】の黒い仮面を呼んでやろうとした。
/313ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36525人が本棚に入れています
本棚に追加