―弐―

2/6
前へ
/8ページ
次へ
今日は遠く木曽から大姫の『いいなずけ』、木曽義高がこの鎌倉へ来る事になっていた。 『許婚』、とは名ばかりで、実際の目的は源頼朝と木曽義仲の表向きの和睦であり、頼朝は木曽義仲の息子である義高を大姫の許婚とし側に置くことで、『人質』を取ったのであった。 この時代、政略結婚は特に珍しい事でもなかった。 『姫、重い~!』 普段あまり着慣れない豪華な着物な嫌気がさしたのか、政子の前(縁側にあたる場所)で脱ぎ始めた。 『こ、これ!姫!そのようにはしたない…!』 突然の大姫の行動に政子や側にいた侍女達も慌てふためく。 『ひ、姫さま!!!』 『姫!いけませんよっ!』 『重いの~!いつものが良いのじゃ~!!!』 『このじゃじゃ馬姫め!!』 可愛らしい見た目とは裏腹にかなり活発な大姫に手を焼いていたのだった…。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加