―弐―

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一通り暴れ、慣れない着物を着ていた事での疲れが溜まったのか、眠ってしまった大姫。 次に目を覚ますと 辺りは暗くなっていた。 『……よる…?』 まだ開ききらない目を擦りながら庭に面した戸を開き、庭を歩き始めた。 『何刻くらいだろ…』 そして一本の木の下にたどり着いた。 雲一つない星空。少しだけ欠けた月に照らされた大きな桜の木。 『満開ではないが、きれいじゃのぅ…』 幼い大姫から見てもなんとも風情のある光景だった。 何となく木に近づいてみる。そして周りに誰もいない事を確認しつつ、喋りかけてみた。 『そなた、満開になったらきっと、今日姫が着ていた着物より、もしかしたら母様よりもきれいになるかもしれんのぅ!』 『そんな事はありませんよ、大姫様!』 『…へ…?』 『私めはしがない桜…、そんな事より姫様、このような晩にお一人でお散歩ですか?』 『…さ、桜が喋りおった…!!!』
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