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『……プッ…』
『…っあははっ』
今度は笑い出した桜の樹。
大姫も何が起こっているのかまるで理解出来ないでいる。
『…此処だよ、上を見てごらん』
そう、声が聞こえた。
言われた通りに上を見てみる大姫。
そこには、立派に伸びた枝に腰掛け、笑みを浮かべながらこちらを見ている少年がいた。
大姫より年は上になるであろう、利発そうな外見をしている。
満開でないとは言え、チラチラと咲いた桜の花とやはり満月ではない欠けた月を背景に、若干色素の薄い柔らかそうな髪がなびく姿は、
なんとも美しかった。
『あなた様は…』
『よっっ…と!』
タンッと大姫の前に舞い降りた少年。
『私は…き』
そう言い掛けた時。
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