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「確かに死んだら楽になれると思うよ、死んだら苦しみも悲しみもないし、何も考えずに済むからね。
だけど、そこには喜びもないだろ?何も無いという事は嬉しい事や、楽しい事もないんだから」
そこで彼女は一度僕を見て、僕が聞いている事を確認すると、また話し始めた
「生きた先に、幸せがあるかどうかなんか誰にも分からないし、もしかしたら辛い事しか無いのかもしれない。
でも、未来なんて限りなく無限に近い程沢山あって、その定まらない運命を生きて、その途中にあるかもしれない悲しみや苦しみといった辛さを乗り越え、自分で幸せを掴んで、その幸せを実感出来る事が、生きる者の特権だとオレは思ってる」
そう言い終えた彼女の顔は今まで見た誰よりも格好よかった
「そうか、片倉さんは強いんだね」
そんな彼女の顔を見てると、そんな言葉が口から出て来た
「そんな事はない、オレは一人じゃ前に進む事は出来なかった」
「ううん、君は僕の知ってる誰よりも強いよ。君は死にたいと思う程辛い目にあって、それを乗り越えてきたんだろ。
それは誰にでも出来る事じゃ無いよ。例えそれが支えてくれた人が居たんだとしても、前に進んだのは君の力だよ。でも僕は支えてくれる人は居ても、前に進む事は出来ないんだよ……」
そう、俺はそんなに強くなかったんだ……
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