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「遅いぞ!!」
叔父の家に着いた瞬間に響いた怒鳴り声に、一瞬俺が怒鳴られたのかと思ったが、その声が道場から聞こえたものだと分かり、少し安心した
「機嫌が悪いのか?こりゃ早くしないとまずいな」
更衣室に駆け込み、すぐに着替えて道場に向かった
「すいません、遅れました!」
「遅かったなー真治」
うお、顔は笑ってるのに、声が笑ってねえ
「いや、これには深い事情が……」
「いいから早くこっちに来い!」
「はい!」
「お前が来なかったから暇だったじゃねえか」
「暇とか言うなよ……というか他の門下生と……って、あれ?」
そこまで話してて、やっと道場にいつもより人が少ない事に気付いた
「もしかして、またやめられたのかよ?」
「やる気の無い奴にやめられても痛くもなんともないわ!」
何を偉そうに言ってんだこの人は
「月に二千円もらってんだから、やめられたら家計に痛いだろうが」
「まあ、何時もの事だし」
「開き直るなよ!叔父さんが厳し過ぎるんだろうが!」
「この程度でやめる奴なんか俺の道場には要らねえ!」
「何でそんなに偉そうなんだよ!」
「この道場が俺のだからだ!」
「……あっそ」
間違いなく馬鹿だな
「それに、もともとこっちじゃあまり稼いで無いしな」
叔父は副業で喫茶店を営んでいて、俺も土日は手伝いに行っているが、凄く人気があって、どちらが本業かわからない様な状況だ
「そういう問題じゃないだろ……」
「話は終わりにして、そろそろ始めないと他の奴が困ってるぞ」
周りを見ると、他の門下生達が苦笑いをしながらこっちを見ていた
「誰のせいだよ……」
俺は文句を言いながらだが、門下生達の方へと向かった
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