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今は各地を転々と放浪する毎日で、寝床と食料を提供してもらう代わりに仕事をとすると言う条件で各地で世話になっている、体つきは大柄なため力仕事や狩りなど老人や女人が苦労しそうなことを代わりにすると言うことだ。
「やぁリョフ殿すまないねぇ」
馬小屋の修理をしている所に声を掛けてきたのは世話になっているチョウソじいさんだ。
「いえ、これくらいしか俺にはできませんので」
「さぁ、そろそろ昼にしよう 婆さんが飯を作ってまっているじゃろうしな」
そう言って穏和な顔の老人は家に向かって歩きだした。
「これでよしっ」
仕事に区切りをつけその後を追ってリョフも歩き出した。すぐに爺さんに追い付きしばらく歩くと一軒の古い家があり、その古い家がチョウソ爺さん夫婦の家である。二人がその家の中に入ろうとした時遠くから数頭の馬の蹄の音が聞こえてくる。目を凝らすと三人の盗賊風の男がこちらへ向かって来ていた、通りすがりにこちらを睨みつけながら通り過ぎる。それをやり過ごし家に入り昼飯をとってしばらくすると少し離れた場所にもう一軒家がありそこに住む初老の男が駆け込んでくる。
「爺さん大変だぁ!」
「テイトクさんどうしたんじゃ?」
テイトクと呼ばれた男が息を切らせながら
「ハァハァ・・大変だ・・村で盗賊が暴れ回っている」
「なんじゃと!?」
昨年、台風の影響で稲の育ちが悪く各地で飢えに苦しむ者が増えたせいで盗賊に身を落とす輩が増え被害が相次いでいる。
「チョウソさん俺が行きますよ」
リョフはそう言って立ち上がり畑作業でつかう鍬の柄の部分を引き抜き出ていこうとする。
「リョフ殿無理じゃて、相手は盗賊じゃ、ここは大人しく食料を差し出せば死人は出んじゃろて」
「心配しないで俺なら大丈夫です 行ってきます」
そう言って走り出す、大型の肉食獣を思わすしなやかな走りであっと言う間に村の中央に差し掛かった、どうやら奪った食料を馬の鞍に縛り付ける所みたいだ
。
「よぉし!お前等いくぞっ」
そう言ってリーダーらしい男が馬に跨がろうとした時勢いよく馬から転げ落ちる。
「!?」
リョフは走ってきた勢いで跳び蹴りを食らわしていた。
「食料を置いてすぐに立ち去れ!」
二人はポカンとした顔でこちらを見る、すると地面にはいつくばっていた男が起き上がり。
「てめぇ!何しやがる?お前等ぶっ殺せ!」
三人は一斉に刀を抜く。
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