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三人は剣を抜きながらリョフの周りを囲む、リョフは棒を構え
「さぁこいっ!」
「でぇや!」
三人は一斉に切り掛かってきた、しかしリョフは一瞬で正面の男との間合いを詰める。
ゴッ!!
剣を振り下ろすよりも早く棒が男の顎を打ち抜く、すかさず打ち抜いた棒の反対で右にいる男の腹を突く。
ドサッ!!
二人は声もなく倒れ込む、リョフは振り返り
「さぁ!まだやるか?」
「クッ!」
男は踵を返し馬に乗って逃げようとする、しかしリョフは男目掛けて棒を投げ付ける。
ゴッ!?
男はそのまま馬の上に横たわった。
「食料は置いてゆけと言っただろ」
そう言って馬の上から男を引きずり落とし食料を鞍から外す。
「あんたスゲェな?」
村人達が駆け寄ってくる。
「いえ!たいしたことはありません」
少し照れたように言うと逃げるようにその場を立ち去った
「おぉっ!リョフ殿無事じゃったか?」
「はい!大丈夫です」
そんな出来事があって数日が過ぎたある日、一人の役人が訪ねて来た。
「失礼する、私はテイゲン様の配下でホウキと申す。」
立派な鎧に身を包んだ男はそう言ってこちらを見た。
「君がリョフかね?」
「はい そうですが」
「少し話をしたいのだが外に来てもらえぬか?」
「・・・わかりました」
家を出て左手に井戸がありそこに馬を繋いであった、その井戸の淵にホウキと名乗る男は腰を掛け。
「では、率直に言おう話と言うのはテイゲン様に仕える気はないか?」
「えぇ?」
「君の噂聞いてここまで馬を走らせて来た」
リョフは突然のことでどう答えていいかわからなかった。
「返事はいまでなくともよい、また訪ねて来るがいつまでここにいる?」
わからなかった、宛のない旅をしているリョフにとっては時間の概念がなく、気が変わればまた旅に出るそんな生活ではなんと答えてよいのかわからなかった。
「...まぁよい、気が向いたら城の方まで来てワシを呼び出してくれれば力になろう」
そう言うと馬に跨がり帰って行った。
リョフはしばらく呆然としていた、するとそこへチョウソ爺さんが後ろから
「リョフ殿すまんが立ち聞きさせてもらったよ、悪い話じゃないと思うがの・・・今よりずっとマシな暮らしが出来るようになるぞい」
リョフは空を見上げながら考えていた。
次の日リョフの姿は村にはなかった。
また宛のない旅に出たのだった。
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