phased-TRUTH

3/7
前へ
/7ページ
次へ
「ただいまぁ」  玄関に入ってまず挨拶。 「お帰り」  ヒロが出迎えてくれたら、ハグして、キス。目を見つめながら、改めて言う。 「ただいま、ヒロ」  またキスをもらう。  この一連の動作が終わって初めて、家に帰ってきたんだなと実感がわくのだ。  一人暮らしの経験もあるけど、私には向いてない。 「ちさ、すぐご飯食べるでしょ?」 「うん」  うなずいた私が着替えている間に、ヒロが手際良く料理を机の上に並べてくれる。  今日のメニューは何かなぁ。  自分が作らない日は、そんなことが細やかな楽しみ。 「有り合わせだよ」  有り合わせ?嘘ばっかり。茄子とれん根に鳥肉が挟まれた揚げ物。こんなのが有り合わせなの?  私もそうなんだ。夕ご飯、ヒロが食べるなら出来るだけ美味しく作りたい。自分用ならカップラーメンやコンビニ弁当で良くてもね。  心がこもったご飯には、心からの賛辞。これ、鉄則。 「美味しい!」 「ほんと?」 「うん、最高。茄子が甘くて、れん根の歯応えがたまりませんな。揚げ方ちょうど良いから、肉もやわらかいよ」  ふふふ。  ヒロが笑う。それが嬉しくて私の笑みも深くなる。笑顔の無限ループ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加