終焉へのプロローグ

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私は一度うつ向き視点を外し、もう一度トモキを見ると、布団に寝転がっていたはずのトモキは、私をひしっ…と、力強く抱きしめた。 その手は…身体は小刻に震えていた。 「…こわいんだ 俺…本当は、気が狂いそうなほど…こわいんだ。 ねぇ…マナ どうしよう……俺… 俺…忘れちゃうよ…… ……俺……… 俺………」 失うなんて、今までの記憶を… 今までの君のことを… 想い出の中に 君だけを置き去りにするなんて……… 「嫌だっ! 忘れるのは嫌だ……」 抱き寄せた身体を少しずつ離し、力が抜け、うなだれ涙を流すトモキ。
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