終焉へのプロローグ

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担当医を見送り部屋に戻ると、目を覚ましたのかトモキは私の方を見ていた。 私はトモキの布団の横に座り、おでこにのっているタオルで顔の汗を拭いた。 すると、トモキがすぅ…っと手を出した。 「手ぇ…… にぎってて………」 私はトモキの手を両手で優しく包み込んだ。 トモキの隣で寝転がり…名前を呼んだ。 「…トモキ」 「………ん?」 「ううん…呼んでみただけ …こんな嵐だとせっかくの桜も散っちゃうね」 「……うん………」 「……治ったら 桜、見に行こう …二人で………」 「………うん」
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