終焉へのプロローグ

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私は布団の上に座り、付き合いだしてすぐにピクニックへ行った時の事を話しだした。 「…でね、その時私ってば、朝五時に起きてお弁当作ってきたのにさぁ…」 トモキは覚えていたように笑いながら、続きを話す。 「そうそう! 箸持ってくるの忘れたんだよなっ」 私は思い出しただけで、赤面し笑った。 「そうっ…そうなのよーっ」 笑い涙を指で拭い、トモキを見ると、トモキはうつ向き、目を瞑り、影をおとし 「うん…で、手で食べたんだっけ?」 私は息をのんだ。 トモキはもう…、そこまでしか覚えていなかった。 「…違う…よ 近所の弁当屋で箸をもらったんだよ」 そう言う私の顔をトモキは、少々困惑した感じで見つめ 「あっ…そうか……そうだっけ……?」 トモキの顔は、困惑と焦りを帯ていた。
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