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いつかの人に言われた言葉。
『貴女は頑張って生きてる。頑張り過ぎてこの背中に色んな物をいっぱい背負って。』
俺が頑張ってる?
そんな事言われても頑張って生きた覚えはない。
『貴女はとても優しい子。天使のような優しさを持っている。』
この人は何を言っているのだろう。
そんなにおだてても何も出て来ないのに。
あいにくそんなものは持ち合わせてない。
いい加減嫌気が差してきた。
『貴女は例え人の事でも悲しんであげられる。でも一番悲しんでいるのは家族の事。』
やめろ…やめてくれ…
人の事でも悲しんであげられる?
俺はそんなに心は広くない!
それに俺がいつ悲しんだって言うんだ。
いつかの人に言われた言葉とその人の言葉を否定する俺の声が頭の中で何度も響く。
頑張る?
優しさ?
悲しみ?
俺にはそれが何なのか分からない。
頑張るとは何か。
何故頑張っていると言われたのか。
優しさとは何か。
何故優しいと言われたのか。
悲しみとは何か。
何故悲しいと言われたのか。
考えているうちに少し腹立たしく感じた。
でもどこか暖かいものが心に広がっていく。
それはあまりにも懐かしくて頬を雫が伝う。
今の俺にはそれすら何なのか分からなかった。
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