プロローグ

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 あるところに、小さな村がありました。そこは静かで、平和な村でした。人口はたったの22名しかいませんが、時間が穏やかに流れ、村人たちはみんな仲良く暮らしていました。   この村には、古くから不思議な決まりがありました。その決まりとは 『村人は、全て仮面を付けなければならない』  というものでした。村人達は決まりの通り、仮面をつけて生活をしていましたので、仲のいい友達でも素顔を見たことはありません。素顔を知っているのはその人の親だけだったのです。そのため、「仮面村」という俗称で呼ばれることとなりました。正式な名称も、「誰そ彼」という意味を持つ事から「黄昏村」という名称になったとされています。  ある日、平和な黄昏村に事件が発生しました。  早朝、広場で村人の遺体が見つかったのです。しかも、遺体からは仮面を奪い取られていて、身元が判別できませんでした。警察ならすぐに身元を明らかにできたのかも知れませんが、この村には警察など存在しないため、遺体の身元は判らないままでした。  被害者の葬儀は、その日のうちに行われました。村人の葬儀には全員が参加するのがこの村の決まりです。そのため、この日の葬儀も、ちゃんと22名全員が参加しました。葬儀後、誰かが気付きました。 『村人が1人殺されたのに、何故その葬儀に21名でなく、22名全員が参加できるのか。』  つまり、犯人は村人を殺害後、被害者の仮面を被り、村に紛れ込んでいたのです。
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