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ふと、グラウンドの隅で黙々とトレーニングをしていた選手に目が止まった。
ドクンドクン、と
心臓が高鳴る
スラリとしたしなやかな身体
凛とした背中
黒い肌
金髪の髪
大きな手
真っ黒になってゆくユニフォーム
真剣な眼差し
初めて彼を見た時、彼の周りの景色だけが他と違って見えた。
いつの間にか私は、彼だけを目で追っていた。
一番前で見ていたせいか、ランニングの時に一瞬、彼と目が合った気がした。
練習も終わり、またみんなお目当ての選手に群がる。
私は彼に近づきたくて人混みをかき分けそばに行った。
トップチーム背番号〇番 山口
「山口選手、お疲れ様です!サインお願い出来ますか?」
やっとの事で声をかけるが、無言で色紙にサインする彼。
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