君といた日々

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『遠い遠い昔  まだ生き物が今の姿ではないほ ど大昔  その時代には神が地上と天空を 行き来していた  神はある時恵みを地上に降らせ た  地上の民は喜んだ  またある時神は災いを降らせた  地上の民は嘆いた  そんなやり取りが何度も続き  人々は疲弊していった  しかしたった一人  たった一人の少女だけが辛抱強 く  堪えていた  その姿に心を動かされた一人の 神が少女に恋をした  少女もまたその神に恋をした  決して報われない儚い恋  だが二人は愛し合った  ただただ愛おしかったから  しかしそんな二人に別れの日が 訪れた  神は人に地上の総てを托し  自らは天空へと帰ることとなっ たのだ  少女を愛した神はそれを頑なに 拒絶した  神を愛した少女もそれを必死に 懇願した  だが認められず  二人は姿を変えてこの世界と一 つになった  少女は大地を彩る花に  神は花を育み護る岩に』
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